5.報道で伝えられる数値の意味を教えて下さい。

100,000cpm(双葉避難所で避難住民の靴から測定された値)
報道で伝えられている100,000cpmについて、一般的に放射線測定に使われているGMサーベイメータで測定したと想定した場合、表面汚染レベルは、400Bq/cm2となります。ただし、測定する機器が異なった場合には、有感面積・機器効率が違うため、計算結果は同じにはなりません。

核種をヨウ素-131と想定し皮膚に付着した場合には、皮膚の吸収線量率の試算は次のとおりです。
皮膚表面汚染密度1Bq/cm2あたりの皮膚吸収線量率(nGy/h)は、ヨウ素-131の皮膚の深さ70μmのとき、係数は1319(nGy/h)/(Bq/cm2)となり、皮膚(深さ70μm)の吸収線量率は0.53(mGy/h)となります。
皮膚の除染を行うことにより、吸収線量率はさらに小さくなります。

1015マイクロシーベルト/毎時(3月12日午後 福島原子力発電所正門付近で測定された空間線量率の値)です。1時間この場所に居つづけると、1015マイクロシーベルト(1.015ミリシーベルト)の被ばくとなります。
原子力発電所に関して定められた一般の方の一年間の線量限度は1ミリシーベルト/年です。しかしこの限度量を超えたからといって、健康影響があらわれるというものではありません。一般に生活しているだけで、自然界から被ばくしている線量は、1年間で2.4ミリシーベルトです。世界の高線量地域では10ミリシーベルトという場所もあります。(参考図)


被ばくと健康影響の図

画像の説明(人口放射線、自然放射線の区別なく、線量の最小値が低い順番に読み上げます。)

線量のスケール
人口放射線
自然放射線

Gy(グレイ):各々の部位における吸収線量
Sv(シーベルト):がん、遺伝性影響に対する防護のための実効線量

歯科撮影
0.01mSv

軽水型原子力発電所周辺の線量目標値(年間)(実際にはこの目標値を大幅に下回っています)
0.05mSv

胸のX線集団検診(1回)
0.05mSv以上

飛行機による東京ニューヨーク間往復(高度による宇宙線の増加)
0.01mSv以上

胃のX線精密検査(1回)
0.1mSv以上

イラン/ラムサールの自然放射線(年間)
0.1mSv以上、1Sv以下

一般公衆の年間線量限度
1 mSv

一人当たりの自然放射線(年間1.5mSv)日本平均

ブラジル/ガラパリの自然放射線(年間)
1mSv以上、100mSv以下

インド/ケララの自然放射線(年間)
1mSv以上、100mSv以下

一人当たりの自然放射線(年間2.4mSv)世界平均(宇宙から0.4 mSv、大地から0.5 mSv、ラドンから1.2 mSv、食物から0.3 mSv)

PET検査 1回
1mSv以上、10mSv以下

CT1回
1mSv以上、100mSv以下

放射線作業従事者の年間線量限度
10mSv以上、100mSv以下

100mSv、100mGy以下は、がんの過剰発生が認められない

造血系の機能低下
100mSv以上

眼水晶体の白濁
100mGy以上、10Gy以下

心臓カテーテル(皮膚線量)
100mGy以上、10Gy以下

不妊
1Gy以上、10Gy以下

一時的脱毛
1Gy以上、10Gy以下

白内障
1Gy以上、10Gy以下

がん治療(治療部位のみの線量)
10Gy以上、100Gy以下


出典:UNSCEAR2000年度報告書ICRP2007年勧告、日本放射線技師会医療被ばくガイドラインなどより