2004年の新潟県中越地震の際、車内で寝泊まりしていた人に「エコノミークラス症候群」が多く発生しました。長時間、脚を動かさないでいると、血のかたまり(血栓)ができやすくなり、肺の血管を詰まらせて、最悪の場合は死亡してしまう病気です。
[症状]
片方の脚のふくらはぎやふとももに痛み・はれが出る、皮膚が赤くなる。
症状が進むと、胸の痛みや歩く時の息切れ、突然の呼吸困難などが起こる。重症になると、失神やショック状態に陥り、心肺停止にいたることもあります。
[かかりやすい人]
高齢者、太っている人、妊娠中・出産直後の人、けがや骨折を治療中の人、がんや慢性の心肺疾患といった病気を抱えている人など
[予防法]
血液が固まりやすくならないよう、足首を十分に動かし、水分を多めにとる。※
ゆったりした服を着て、日中はできるだけ歩いたり、体操などをして脚を使う。
寝るときは脚を少しでも伸ばせる姿勢になる。
[体を自由に動かせない場合]
座ったり横になったままでも、脚や足指をこまめに動かす。
ふくらはぎの筋肉をしっかり使い、足首の曲げ伸ばしをする。数時間おきに行うとよい。
自分で脚を動かせない場合、周囲の人が、足首から膝の方向へとふくらはぎをマッサージしてあげるとよい。
避難所生活は行動が自由にならないのに加え、トイレの回数を減らそうと水分を控えがちで、この病気になりやすい環境にあります。上の症状が出た場合には、早めに保健師や救護班、医療スタッフにご相談ください。
※心不全など、心臓の病気がある方は、水を飲みすぎると具合が悪くなることがあります。このような方は、ご自身の判断で水を多く飲まずに、保健師や救護班、医療スタッフにご相談ください。
[避難所でもできるエコノミークラス症候群対策]
1.つま先を下に向け足の甲をゆっくり伸ばす
2.つま先をゆっくり上げる
3.足首をゆっくり回す
4.両足を伸ばした状態から片足ずつ膝を伸ばしたり曲げたりする
避難所の中でも図のような脚の運動を積極的に行いましょう。ふくらはぎの筋肉が伸縮することで、脚の静脈の血行が良くなり血栓の発生を防ぎます。
参考資料:日本血栓止血学会「被災地における肺塞栓症の予防について‐Q&A‐」
詳しくはホームページへ。 http://www.jsth.org/
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