閉会挨拶
挨拶者
河村 宏(国際DAISYコンソーシアム理事)
内容
本日は中身の豊富な発表と多くの質問もありがとうございました。
長時間、熱心にご参加いただきました。これからはいよいよ正念場だと思います。
つまり、技術的な基準・規格ができました。それをどうやって実際に使えるものにし使っていくのか、そこにはたくさんの課題があります。
規格が普及するまでにどれくらい時間がかかるのかと言いますと、DAISYの規格は、前世紀末、1998年にできていますが、いまだに新しいマルチメディアの規格と受け取られています。EPUBでは、これまでDAISYで実現してきた技術的な機能の解決策を示せております。
そのため、普通の出版物に取り入れられる電子書籍になれば、出版社にとっても、それによって読者が増えると思います。
読者にとっても、障害者だけではなく、高齢社会においては、読書しづらくなる方が増えていきます。そういった方たちも継続して読書することができるようになります。
また、外国の方も日本の社会に定着して、日本の漢字カナ交じり文だと分かりにくいけれども、日本語の出版物を理解したいという人もますます増えていくと思います。
そのようなすべての読書が必要な人がアクセスできる出版物を作る方法が、規格として示されたわけです。
一朝一夕にできることではないですが、多くの工夫と先見的な取り組み、ボランティアの皆さんの支援も必要になってきます。 そういった形で、新しい電子書籍がすべての人に読めるようになっていく、そういう時代に向けた正念場がスタートすると思い発表を聞いていました。
日本では、欧州アクセシビリティ法のような罰則規定はありません。けれども、日本でもすべての団体、民間の企業でも障害者差別解消法の規定が2年後に適応されるようになります。合理的配慮の提供の義務化と言われています。
これは、義務化されるからやらないといけない面もあります。それとともに、読書、出版物を読める人をどうやって増やすか、今まで読めなかった人に、読める機会をどうやって広めていけるのか、そうしたことに、共に取り組む、息の長い取り組みとして、今後とも、今日の会の主催である日本DAISYコンソーシアムと日本電子出版協会ともども取り組んでいきたいと思います。今後もご関心、ご協力をいただきたいです。
今後の対話についても、eメール経由で、ぜひ率直な質問、提案等を頂いて対話を続け、一歩一歩、できることから進める取り組みをしたいと思います。
本日は長時間にわたって、お忙しいところ参加いただき、ありがとうございました。